老人の挑戦:ロスアンジェルスを起点にした4300km

S37年卒 疋田 巧

2012年10月、以前から考えていたアメリカ旅行を妻と二人で実施した。現地の移動はレンタカー(運転は私一人、妻はずっと助手席で高いびき)、大まかなルートを決めて、適当なところでモーテルを探す(人気の観光地等は事前に予約)という気ままな旅で、数年前に実施したカナダの旅と併せて私のセンチメンタルジャーニは終了した。

計画の方針と方法

1.

ハイシーズンを避け、いまだ観光には快適であろう10月に実施する。

2.

ヨセミテ国立公園、モニュメントバレーは必見。

3.

モニュメントバレーにあるただ一つのホテルThe View Hotelがとれるか?

4.

ヨセミテ国立公園にあるTioga Pass(3031m)はこの時期に通行可能か?

5.

以上を確認し、主要な国立公園等を巡るコースを考える。

6.

インターネット情報をもとにコース、日程等の具体的な計画を立てる。

表1

実際の走行ルートの概略(一部は現地で変更したがほぼ計画通り)。冬季は閉鎖との但し書きのあったCA-120(Tioga Pass)、AZ-67、UT-14は、一部雪があったが、すべて問題なく通行出来た。インターネット情報では11月5日現在AZ-67は山火事で閉鎖中とのことである。

図1

走行ルート(青線と黒字)の概略、赤字は訪れた国立公園等(一部省略)

レンタカー

いささかきついスケデュールなので最低レベルの車ではなく1ランク上のカローラクラスを予約したが、現地での対応が悪く、料金据え置きで格上のムスタングをゲット、3.7リットル(305hp)、6速AT、擬マニュアルも可 大きなタイヤ(235/50R18)を履いており、高速走行も不整地走行も非常に快適な運転が出来た。特にスケデュールが押してきた際、街道一の高速走行が可能でずいぶん助かった。燃費は米車にしては優秀、米EPA(環境保護庁)が認定した数字は、31mpg(13.2km/l)、今回は、町乗り、観光も含めた全コースの平均燃費は12.2km/lであった。これは自慢できるかな?

ムスタングは1962年、当時倒産寸前と云われていたフォードが起死回生を期して発売したツードアーの中型車で、車体の割には大きなエンジン、一応4人乗りではあるが、後席を虐待、前席を極端に優遇した実質は2人乗りスポーティーカーであった。50年たった今も、多少車体が大きくなっているように見えたが、ほぼそのコンセプトを保っていた。一旦乗車すると大変快適であるが、乗り降りは多少の困難が伴うので、乗り降りが頻繁な観光地では煩わしい。

ハンドル周りやダッシュボードには無数のよく似たスイッチが並んでおり、それぞれ小さな字でラベルされており老眼の小生がスイッチ類を把握するまでに数日かかった。出発前にレンタカー屋のお兄さんにトリップメータの設定を頼んだら、うーんと云いながら数十秒かかってPCを扱っているような方法で設定してくれた。スピードメーターの横に私が考えていたトリップメータ(距離)に加えて、運転時間、ガソリン消費量、平均燃費が魔法のように現れた。後述するデータはこれらによったものである。

図2

朝焼けのシエラネバダ山脈を背景にしたムスタングと我々。Death Valley National Parkに向かうところ。遙か後方かすかに写っている高い山はシエラネバダ随一のホイットニー山(4421m)らしい。

表2

走行データ

「計画」はインターネットを基に概算したもので、「結果」は上記トリップメータに現れた数字である。買い物、食事、予定外の観光等を考えれば計画通りと認定。

総括

遊びだけを目的に米国を旅行したのは生まれて初めて、何処まで出来るかやってみようと少し冒険気味の計画を立てた。体力的にも問題なく、楽しい経験であったが、寄る年波には勝てず、動体視力が低下しており、暗くなってからの町乗りは全体像の把握が悪く、近視眼的な運転しかできなかったと反省、ぼつぼつ運転も年貢の収め時かと感じている。

アメリカは自動車の国、自動車に乗っていれば、安全、便利、移動が早く、駐車場に困ることもない。毛皮で正装した老人と裸足でパジャマの若者が歩いている町中ではなにをやっても注目を浴びることはない自己責任の国(銃器類の携行は賛成しかねるが)、道案内等の助けを求めれば親切に対応してくれる。本当に住み易い国である。では、終の棲家とするかと問われれば否と答えざるを得ない、人間って不思議な動物。

旅行中に大きくなった胃袋の食欲を押さえるのに四苦八苦しながら、体重を元に戻すための運動に励んでいる昨今である。次は、ホノルルマラソンだ〜!!